56ページ下段の山居秋暝の5列目(NHK 漢詩紀行、監修:石川忠久・著者:牧角悦子)

「竹喧〜」の「喧」の文字に「カシマシ」と振り仮名がありますが この字は

「やかましい・カマビスし」とは読んでも「カシマシ」とは読みません、

カシマシの文字は 別にあり、ご存知のように「姦し」です。

 

 

「山居秋暝」、王維

             この漢詩の読み

空山新雨後       くうざん しんうの のち

天気晩来秋       天気ばんらい 秋なり

明月松間照       めいげつ しょうかんに照り

清泉石上流       せいせん せきじょうに ながる

竹喧帰浣女       竹かまびすしくして かんじょ かえり

蓮動下漁舟       蓮うごきて ぎょしゅう下る

隨意春芳歇       ずいいなり しゅんぼうの やむこと

王孫自可留       おうそん みずから とどまるべし

 

この漢詩の訳

人気の無い山に 新たに雨が降った後

天の気配は、夕刻になって ひんやりと秋らしくなった。

明るい月が松の木の間から光を輝かせ

澄んだ泉は 巌の上に音を立てて流れる。

竹薮のほうで洗濯女たちが賑やかに帰り

蓮の葉が動いているのは 漁舟が下っているからだ。

春の風情が終わっていくのは、かまわない

(秋も魅力があるので) 私は しばし この夕べの光景の中に留まっていたいと思う。

 

王孫=男性の美称として使われる、ここは作者である自分の事。

 


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